業務内容 - 交通事故による損害賠償事件

受任の範囲

 被害者側からの依頼が多いですが、加害者側からの受任経験も多数あります。

 交通事故については、多数の裁判例があり、専門部を持つ地方裁判所もあることから、過失の有無、損害認定の考え方、損害額認定について、ある程度、裁判における基準が確立しております(このような一定の基準の存在が、後述する高次脳機能障害等で、被害者救済を阻害している側面もあります。)。

 ご注意頂きたいことは、被害者の場合、ご自身が加害者側保険会社と交渉し、或いはご自身が加入している保険会社に交渉を依頼することが多いと思いますが、加害者側保険会社の提示する和解案は、上記の裁判基準ではなく、その基準より遙かに低い保険会社基準だということです。加害者側保険者会社は、弁護士が被害者代理人に就任した後の交渉においても、裁判基準によることを拒否することさえあります。

 従って、私は、被害者代理人に就任した場合、被害者の方ともご協議した上で、裁判を起こすことが多いといえます(後述する嗅覚脱失の後遺症案件などはその典型例です。)。

主だった経験例

ア 脊髄損傷の後遺症案件

 脊髄損傷の後遺症を負った事例では、胸から下が完全麻痺の方、首から下が完全麻痺の方など多数の事案を担当しています。どの事例も、ご本人そしてご家族のお苦しみ、御苦労は大変なものでした。

 このような重大な後遺症が残った事例では、家屋改造費用、症状固定後の介護費用、自動車購入および改造費用などを請求することも多くなります。これらの費用を裁判所に認めてもらうには、訴訟提起前から、実際に費用を支払い、実績を作った上で請求することが肝要です。

イ 嗅覚脱失の後遺症案件

 加害者に100%過失がある案件で、被害者の方が脳挫傷を負い、嗅覚脱失の後遺症が残った案件を経験しました。被害者の方は、専業主婦であり、お子様もおられました。

 嗅覚脱失は味覚脱失をも伴いますから、家事労働、子育てにも、大きなハンディーキャップとなります。

 しかるに、被害者の方がご自身で交渉していたとき、加害者側保険会社の提案した和解案はわずかに100万円でした。私が受任した後に、保険会社が提案した和解案は500万円でした。私は、被害者の方と協議し、裁判を提起しました。最終的には、裁判上の和解で、後遺障害等級11級を前提として、和解額は2200万円となりました。

ウ 高次脳機能障害の後遺症案件

 交通事故については、昨今の医療技術の発達により、従前は死に至ったような事例でも、命を救えることが多くなりました。その結果、他方で、命は救えたが重い後遺症が残ってしまったという事例が増えています。

 そのひとつが高次脳機能障害で、平成10年頃から大きな社会問題となっています。

 一口に高次脳機能障害といっても、さまざまな症状があります。たとえば、(a)手足のマヒや筋力低下などの運動障害、(b)聴・臭覚、味覚が衰える。(c)言葉を発することができなくなる、(d)目的地にたどりつけない、(e)状況に応じた適切な行動がとれないなど、全身に深刻な影響がでます。

 裁判例の主流は、高次脳機能障害と認める要件として、(1)交通事故の時6時間以上意識を喪失していたこと。(2)脳萎縮の画像的所見があること。(3)現時点で高次脳機能障害の症状がみられることを要求しています。この結果、(1)或いは(2)の要件を満たさないため、現時点で高次脳機能障害の症状が出ているにもかかわらず何ら補償が得られないという悲惨な状況がおきています。

 近時の裁判例では、上記(1)(2)の要件がなく、(3)の現時点における高次脳機能障害の症状のみ認められる事例につき、札幌高裁平成18年5月6日判決が、高次脳機能障害と認定しました。しかし、その後も、裁判例の多くはこのような認定に否定的であり、(特に地方裁判所は、平成23年末段階で、このような案件について、高次脳機能障害を一切認定していません。)、高等裁判所が、高次脳機能障害と認めても、認定された後遺症の等級も低く、認められた損害額も約2000万円或いは約2700万円と低いものでした。

 このような状況のなかで、私は、(1)(2)の要件がなく(3)の症状のみの事案(この方は、一見普通に見えても社会的適応力がないため、就労できない状況でした。)について、大阪高裁で、高次脳機能障害による後遺障害等級7級を認定した和解(和解金1億円)を獲得できました。